もしも、依存症であるならば

借金を作ってしまった事情は、人様々だと思う。

失業や病気、思いがけない事情で、借金ができてしまったのかもしれない。

そうした場合は、借金が完済、もしくは法的に整理されれば、

生活、暮らし、人生はリセットできるだろう。


問題なのは、依存症が絡んだ借金である。


借金というと、まずはその数字に圧倒される。

借金そのものが苦しい大問題だ。

だが、その借金はなぜ作られたのか。

そこに、依存症が絡んでいれば

借金が無くなったところで、真の解決には至らない。


アルコール依存症

薬物依存症

買い物依存症

性依存症

共依存症

いろいろな依存症があるが


私自身のつたない経験から言わせてもらうと自分の意志で依存症を治すことは難しいと思う。

依存症は、破壊・破滅・崩壊に至る残酷な病である。

私も一人で抱えこみ、ただただ悪くなっていくだけの10年を過ごしたが

確かなケアを受けたことで、その後の20年ちょっとの時間は、ささやかながら丁寧な人生になったと思う。


(画像はリンクではありません。スミマセン。私が20年ちょっと前に通所した施設のホームページをスクショさせてもらいました。)



借金⑤

借金が大変だから、相談に行ってこよ〜と思う人は、ほとんどいないと思う。


ある日ある時、何かが起こって、


その時、はじめて、自分の借金問題の全容を直視する。


私にしても、他の問題が起こってきた時に


仕事や働き方を考えると、借金のために身動きがとれなくなっていることに気づいたのだった。


それまで10年近く返済しても借金が減らないということ。


自分の力だけで返済するのは難しい、


状況は良くなるどころか、年々、悪くなってきたということ。


普通に暮らしているように見せてはいるが、私の内面はもうボロボロであること。


何もかも終わらせたくなっていること。


そして、詐欺も多いということで公共機関に相談して、日本クレジットカウンセリング協会にたどり着いたのだった。


私の場合は任意整理という解決方法だったので、働いていること、などの条件を示されたと思うが、ほとんど問題なく手続きに入っていった。相談に行った当日には「あとはこちらでやりますので」と言われ、目の前で、3枚のクレジットカードをハサミで切ってもらった。「もう安心ですよ」とも言ってもらった。スタッフの人のお話では、トランプのようにもっとたくさんのカードを使っている人は珍しくないそうだ。

帰り道、足の裏から、何かが抜けていくようだった。


弁護士さんが交渉して小さくまとめてくれた金額を10回ほどの分割払いで支払って、

私の借金問題は解決した。

私は実家に知られることを怖れていたが、実家のことなど聞かれもしなかった。

相談料は無料。かかった費用があるとすれば、何回かの面談に行くための交通費くらいだった。

面談もそんなに頻繁というわけでもなかった。

20年ほど前のことなので細かいことは忘れているが、もっと早く相談に来ていれば良かったということはとても感じた。


お金のことは、これからも何があるかわからない。

戒めのために当時の書類を捨てないで持っている。


借金④

借金のことは誰にも話さなかった。


恥ずかしいから。


早くこっそり返済して、


「無かったことにしたい」と考えていた。


どうしても足りなくなった時


「生活費を電車でスられてしまった」と嘘をついて人から借りた。


街中に、市役所などが借金の相談会を開いているというチラシが貼ってあったりする。


私は、見なかったことにする。


それを見ると恐ろしくなるから。


借金をしていることを思い出して、恐ろしくなるから。


たとえると、まるでケガをして血がダラダラ流れているのに


病院の看板を見ると、ケガをしていることを思い知ってしまうので、看板も見ない


病院にも行かない、みたいな心理状態。


放っておけば、ケガをしたところは膿んで腐ってしまうのに。



何かを

麻痺させているから、普通に暮らしているように振る舞える。


実はこのことが、借金問題の恐ろしさかもしれない。




同じような月末が毎月やってくる。


しかし、なぜか借金は減っていかない。


そんな毎日を10年近く続けていると、とてもマトモな精神状態ではいられなくなる。


お金を巡って、悲しいニュースがよく流れる。


私には、どうしてそういうことになるのか、すごくよくわかる気がしていた。



画像の公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会は、おそらく、市役所に相談に行くと紹介されている団体です。他に法テラスという名前も聞くけれど、私が任意整理をお願いしたのは日本クレジットカウンセリング協会なので、知人や友人には、直接こちらを紹介させてもらっている。

ローン、融資、借金・・・社会人ならばなんらかこの手段は使っているかもしれないけれど、給料の大半を返済に充て、家賃や生活費のためにまた借金をしているとすれば、それはすでに私個人の手に負えなくなっているということ。