潜伏するブラック・アラコック

以前、こんなことがあった。
仕事で外出先での待ち合わせ場所を上司と打ち合わせた時のこと。
上司から「〇〇通りの酒屋さんの前で待ち合わせよう」と言われた。
〇〇通りは行ったことがあるが
酒屋?そんなものあった?
実際、行ってみると
確かに「酒」というどでかい看板のある建物があったが
私はそれよりは、その近くにあるコンビニや病院だけを記憶していた。
たまにしか行かない〇〇通り。
もう必要としていないものには関心がないからだろう。
確かに、そんなふうになる。


だが


つくづく感じるのは、私のアルコホリズムは消えて無くなったのではなく
AAプログラムの力で、封印されているだけだということだ。
ここらへんを、もっと科学的に説明したいが、今もまだうまく言えない。


私流の表現だが、
あえて私のアルコホリズムを擬人化してみる。
名前をブラック・アラコックとしてみる。
だまらされて力を封じられているが、常に私の中に潜んでいる。
たまに、私の耳を塞いでみたり
変な色メガネを私にかけて、ちょっかいを出してくる。
だが、私は、ことあるごとにAAプログラムを選択するので、
ブラック・アラコックは面白く思っていない。


仕事が忙しくなったり、
親の介護が大変になってくると
ブラック・アラコックは嬉しくなってくる。


仕事
介護
誰にも責められない、大義名分だ。
「ほら、忙しいんだから、大変なんだから、AAなんかやっている場合じゃないよ」
と、ブラック・アラコックがささやいてくる。
私の短所・弱さも知り尽くしているからそこを突いたこともささやいてくる。
「アラコックなんていてもいなくてもいいって思われてるよ」


「アラコックに飲ませるのに刃物はいらない
AAから自ら離れるように仕向ければいい」


ブラック・アラコックは、そう考えている。


現実のアラコックは、年齢も上がって、油断していると衰えていく一方だが
ブラック・アラコックは、年々、賢くなって
より巧妙で不可解で強力になっているようだ。


さあ、これからホームグループのミーティングに行ってこよう。
忙しくて大変なら、なおさらAAプログラムが必要だ。