借金⑤
借金が大変だから、相談に行ってこよ〜と思う人は、ほとんどいないと思う。
ある日ある時、何かが起こって、
その時、はじめて、自分の借金問題の全容を直視する。
私にしても、他の問題が起こってきた時に
仕事や働き方を考えると、借金のために身動きがとれなくなっていることに気づいたのだった。
それまで10年近く返済しても借金が減らないということ。
自分の力だけで返済するのは難しい、
状況は良くなるどころか、年々、悪くなってきたということ。
普通に暮らしているように見せてはいるが、私の内面はもうボロボロであること。
何もかも終わらせたくなっていること。
そして、詐欺も多いということで公共機関に相談して、日本クレジットカウンセリング協会にたどり着いたのだった。
私の場合は任意整理という解決方法だったので、働いていること、などの条件を示されたと思うが、ほとんど問題なく手続きに入っていった。相談に行った当日には「あとはこちらでやりますので」と言われ、目の前で、3枚のクレジットカードをハサミで切ってもらった。「もう安心ですよ」とも言ってもらった。スタッフの人のお話では、トランプのようにもっとたくさんのカードを使っている人は珍しくないそうだ。
帰り道、足の裏から、何かが抜けていくようだった。
弁護士さんが交渉して小さくまとめてくれた金額を10回ほどの分割払いで支払って、
私の借金問題は解決した。
私は実家に知られることを怖れていたが、実家のことなど聞かれもしなかった。
相談料は無料。かかった費用があるとすれば、何回かの面談に行くための交通費くらいだった。
面談もそんなに頻繁というわけでもなかった。
20年ほど前のことなので細かいことは忘れているが、もっと早く相談に来ていれば良かったということはとても感じた。
お金のことは、これからも何があるかわからない。
戒めのために当時の書類を捨てないで持っている。